中盤における主要登場人物・年代
▼10代
14 フリジア内親王
ジュピタ皇家の皇女。ソラムダリヤの妹。
物事を深く考える性質ではないものの、善良で優しい性格。
年の離れた兄ソラムダリヤからは大変に可愛がられている。
シュディリスの大ファン(…)。
16 ルルドピアス・クロス・オーガススィ
トスカイオの末の姫。兄に小トスカイオとイクファイファ王子がいる。
奇行が多く、「病気」として片付けられてきた日蔭の姫。
叔母にあたるリィスリと容貌が似ており、近隣諸国にとっては幻の美姫。
リリティスとユスタスの従妹。
16 ブルーティア
小トスカイオとスイレンの次女。
潜在能力は姉よりも高いが、ほどよいところで落ち着いている。
彼女の性格形成においては、姉とルルドピアスを見比べていたことが大きい。
父母のいいとこどりをしたような性質。控えめだが時折鋭いことを云うことも。
17 レーレローザ
ブルーティアの姉。女騎士として生をうけた。
喜怒哀楽がはっきりしており、感情的で直情型。
ルルドピアスに対しては母性的な保護欲と、女騎士ならではの
同性愛のようなものを覚えている。それについては本人が自覚済み。
17 ユスタス・フラワン
フラワン家の次男。
能力人格ともにバランスがよく、そのデータ構造は、ほぼ円形。
気負わず無理せず、常に自然体。まっとうな感覚の若い騎士。
兄思い姉思い、周囲に対しても気配りと心遣いが出来る、地に足がついた若者。
18 リリティス・フラワン
シュディリスの妹。ユスタスの実姉。
秀でた高能力がありながらも、反比例して精神面が致命的に弱い。
女騎士の特徴として、大きな欠損をその身に抱えることが多いが、
彼女の場合は性格の優しさがかなりの負担となっている。
18 ワリシダラム
ハイロウリーン家七兄弟の末王子。
本人も云ってるが、七人もいたら下の方は王子といっても名ばかりで
公式の場に出ることもあまりなく、比較的、自由奔放に甘やかされて育った。
義務と責任の自覚はあるものの、態度は気さくで気取らない。
19 ロゼッタ・デル・イオウ
サザンカと共同統治にある名家イオウ家の令嬢。伝統の赤い剣を持つ。
小柄で顔立ちが可愛いので、年齢よりも年下に見られること多し。
過去イオウ家とレイズン家との間にあった不倫の血を体現してか黒髪。
生真面目な性格で、そんなところがかえって男衆の関心を惹くことも。
19 トバフィル・バラス
シュディリスの留学時代の親友にしてグラナン・バラスの実弟。
教授候補にも挙がる優秀さであったが、卒業後は僧籍に入った。
大學時代の学友たちとは、今でも親交がある。
リリティスのことが好きだった。


▼20代
20 シュディリス・フラワン
滅亡したカルタラグンの皇子。フラワン家で育つ。
はっきり云って相当な難物。並みの者では手におえない。
あたりが優しいわりには、その行動様式は定規で引いたような奇怪な直線を描く。
弟ユスタスと仲がよい。ついでに恋愛小説が苦手らしい。
21 エクテマス
ハイロウリーン家六男。騎士ルビリアの弟子。
不世出の天才剣士ながらも平騎士として生きる男。
傑出したおのれの才をおのれ自身で潰すことが一種の快感を呼ぶらしい。
変人は常識では測れない。騎士の頂点にいる為に、比較もまず不可能。
22 イクファイファ・クロス・オーガススィ
オーガススィ君主トスカタイオの末王子。
年の離れた兄に小トスカイオがいる。親子漫才のボケ担当。
剽軽者だが、ルルドピアスと離宮で過ごすことも厭わなかった優しい兄。
ソラムダリヤ皇太子とは学友。シュディリスには振り回される羽目に。
23 インカタビア
ハイロウリーン家五男。
年少組の王子として続く六男七男とは仲がよい。
兄弟の中では影が薄いほう。つまり、至極まともな人である。
弟エクテマスのことは、理解できないものの、よき兄であろうと努めている。
23 エステラ
ミケラン・レイズンの愛人。
過去に辛酸を舐めたせいか、並みの女よりも胆が据わっており、人情家。
平生は気楽で軽薄な愛人役に徹しているが、考え方はしっかりしており、
恩人ミケランを心から愛して、彼の為なら流刑にも甘んじると云ってのける。
23 ソラムダリヤ・ステル・ジュピタ
帝国皇太子。ミケランから英才教育を受けた。
お坊ちゃんで、滅多に怒ったりすることのない温やかな性格。
いざとなれば、毅然とした強い一面を見せることも。
敵を作らず、誰からも好かれる実直な、好ましき人物。
24 アニェス・マノ
顔の深傷は、パトロベリがつけたもの。シュディリスの留学時代の恋人。
どちらの男にも、手痛い別れを与えた想い出の人。
シュディリスは虐げられたカルタラグンの人々の悲しみを、このアニェスの
姿の上に重ねて見ていたようだ。
25 ビナスティ
ジュシュベンダ騎士団いらくさ隊所属の女騎士。
老若男女誰が見ても文句なしに美人。美しければそれでいい。
性格もよく、隣りのやさしいお姉さん的な、騎士団のアイドル。
イルタルより奥さんを亡くしたクローバに下賜される。もったいない。
25 翡翠皇子
カルタラグン家の皇子。享年。
何もかもに恵まれた寵児として、王朝末期の宮廷に花開いた。
ミケランの凶刃に斃れ、遺体は皇子宮ごと灰になるも、
彼の底に流れていた竜神の血は息子シュディリスに受け継がれる。
25 カリア・リラ・エスピトラル
人間換算ならこのくらいの年齢。
泣く子も黙るユスキュダルの巫女。騎士にとって巫女とは
竜神の血を無条件に従えさせる、特殊な存在。
服従が避けられず、絶対的な畏れを抱かせるもの。
26 グラナン・バラス
流浪の民を祖にもつバラス家出身のジュシュベンダ騎士。
語学堪能を買われて一時は間諜候補だった。
忠実勇敢、頭も良く腕も立つ。従騎士としては申し分ない有能騎士。
シュディリスとパトロベリの供をする羽目になった苦労人。
26 ジレオン・ヴィル・レイズン
聖騎士家レイズン本家の跡取り。
レイズン本家に生まれた誇りが強く、主導権のない現状に不満を抱く。
自信家で、他人を見下し、嘲笑癖と傲慢を隠さない。
ミケラン性格の一面を写し絵にしたかのような意気軒昂な青年。
27 パトロベリ・テラ
先々代が侍女に手をつけて生まれたジュシュベンダの王子。
人並み以上の腕前を持ちながらも、その性格のひ弱さが仇となり
惰弱を装って生きている。かといって極楽とんぼにもなりきれず
たまに本領を発揮しては、後でくよくよ後悔している。お家の問題児。


▼30代
32 ルビリア・タンジェリン
シュディリスの実母。翡翠皇子の妃候補として、皇子宮に上がり、
少女時代を皇子の傍で過ごした。身重の身で都からの脱出を果たし
ハイロウリーンに亡命。フィブラン・ベンダの許で高位騎士となる。
どうやら気が狂っているらしい。真相不明。
33 ナラ伯ユーリ
ルビリアの同期。人のいい名家の若主人。
他の者のようにルビリアに対して含むものもなく、常にフェアを心がけている。
特に派手なものも秀でたものもない代わり、黄金の心を持ったまことの紳士。
ハイロウリーン家にとっては譜代の家臣のような忠臣。
34 サンドライト・ナナセラ
ナナセラ家の傍流に生まれた。騎士としての立身を夢みて
少年の頃にカルタラグン王朝に上がるも、そこで政変を迎える。
有り余る能力がありながら活躍の場を奪われて生きてきた。
カルタラグンの亡霊と呼ばれる、過去に囚われた人の一人。
35 タイラン・レイズン
ミケラン・レイズンの実弟。脚が悪く、分家の中でも忘れられた存在。
植物に造詣が深く、庭園の世話が趣味。ミケランのような男を
近親に持った者同士、アリアケ・スワンとは通じるものがあったようだ。
クローバが去った後、コスモスの新領主として着任する。
36 小トスカイオ、スイレン夫妻
次期オーガススィ領主とその夫人。一男三女の親。
女子が三人続いた末に、ようやく待望の男子が生まれた。
スイレンの娘たちへの期待は大きく、娘に自己投影して夢を負わせる母親の典型。
次代領主夫人として、重責を担う立場には辛いこともある。
37 フィリア・コスモス・タンジェリン
悲劇のタンジェリン四姉妹の長姉。一時は翡翠王子の妃候補であった。
辺境伯クローバ・コスモスに嫁ぎ、夫婦円満であったものの
タンジェリン殲滅戦の余波の中、コスモスの地を守って自害する。
ルビリアの実姉。年は享年。
38 クローバ・コスモス
オーガススィの末王子として生まれ、盟友国コスモスへと養子に出される。
トスカタイオとリィスリの実弟。ユスタスとリリティスの叔父。
高位騎士の能力に振り回されることもなく、過ぎた野望を抱くこともない。
裏表のないさばけた人柄で、領民から深く慕われている。基本体育会系。
39 ミケラン・レイズン
分家に生まれ、ジュピタの王子と共に政権復古を果たす。
野望ある政治家というよりは、むしろ、飽くなき夢を広げてゆく芸術家。
自身の保身やお家存続に対しては興味がない。それもあってか
莫大な財産を湯水のように惜しみなく遣い、子も養子もいないまま。


▼40代
40 エチパセ・パヴェ・レイズン
レイズン本家の出。ナナセラ家と親しい。イルタルとクローバの友人。
武具鑑定士として第一級の目を持つ好事家。
ミケランからのオファーを何度も袖にしたツワモノ。
ついでに、シュディリスとグラナンとパトロベリを騙したあたりも、性格たぬき。
40 イルタル・アルバレス
アルバレス家の当主。パトロベリの擁護者。
皮肉の利いた性格ながらも、温情の持ち主。「大君」と尊称される。
大騎士団を有す君主として、若い頃から英明で鳴らした。
帝国の双璧、その片割のハイロウリーンとは必然的にライバル。
40 リィスリ・フラワン・オーガススィ
翡翠皇子の妃候補であったが、オーガススィからトレスピアノに嫁いだ。
そのお蔭で流星の年の難を逃れる。
リリティスとユスタスの実母。荘園においてはよき領主夫人ながら
恋人を捨てて生き延びたことへの悔いを心に見つめてきた人。
41 皇帝ゾウゲネス
カルタラグン施政代行の末期、ジュピタ家傍流に生を受ける。
学問所の後輩ミケランに担ぎ上げられ政変を断行。復古ジュピタの皇帝となる。
ゾウゲネスの血統こそはジュピタの正統。数世代前が白痴であった為に
傍流におかれ、その隙にカルタラグンが政権代行に乗り出した。
41 アリアケ・スワン・レイズン
ミケラン・レイズンの妻。享年。
学者を輩出するスワン家の出身。年下のミケランとは見合い結婚。
若くして病魔におかされ、生涯の殆どを病床で過ごした。
夫のよき理解者であり、それ故に、彼女自身の人生は無色も同然であった。
42 ルイ・グレダン
ハイロウリーン騎士団で豪腕を誇るも怪我にて潔く退団。
フェララに招かれ、現在は剣術師範として余生を送る。
不惑の年ながらもちょっと迷うが迷わない、おおきなおじさん。
怪我の負い目で高位騎士の腕前を平生は隠している。愛称は熊さん。
44 カシニ・フラワン
シュディリスの養父。トレスピアノ領主。
リィスリの求婚者の中ではもっとも最後尾からやって来たという逸話の持ち主。
温厚篤実。領民からも慕われ、諸国からも尊敬を寄せられる。
シュディリスを荘園に隠し、自分の長子として実子同様に育て上げた。
45 モルジダン侯
フェララ所属の隻眼の騎士。
ルイの同僚にして戦友。かつて戦場で敵味方に分れ剣を交わしたことがある。
時に厳しく、時に優しく、若手騎士を育成する手腕には間違いがない。
まっすぐな気性のユスタスとロゼッタを気に入ったらしい。
46 オニキス皇子
不遇のカルタラグン皇子。
母の身分が低く、晴れ舞台は弟の翡翠にすべて奪われるも
政権交代劇からは生き延び、サザンカに長年匿われていた。
悪人にも、善人にもなれぬまま、爛れた半生を過ごしてきた男。
47 フィブラン・ベンダ・ハイロウリーン
豪胆にして剛毅。騎士の気品と苛烈を兼ね備えた武人。
北方の要、帝国最強ハイロウリーン騎士団を束ねる。
ルビリアの主君にして保護者。また唯一の理解者。
長子ケアロスを筆頭に、七人の男子の父。

(番外)五十代--------フェララのダイヤ公や、トスカタイオ・クロス・オーガススィなど。