[カノープス通信]冬木洋子様へ---(2006.05.26)

冬木さんのオリジナル小説「イルファーラン物語」読了記念。
物語の宣伝バナー(120×360)サイズ、「魔王」。
透徹した孤独を抱く魔王さまでした。

少女向け異世界召喚ファンタジーは王道がだいたい決まっています。
むしろ王道路線をどれほど豊かに書けるかではないかと私は思います。

異世界に落ちた少女が、そこで、心に傷と寂寥を抱えた青年と出会う。
少女はその世界の美しい魔王から花嫁として望まれる。
旅路の果て、二人で力を合わせて闇の力を斃し、
そして現(うつつ)を生きる力と、愛を得る。

十代の頃、異世界召喚ファンタジーを夢見た少女たちは
概ね、このような夢を最初に思い描いたのではないでしょうか?
「イルファーラン物語」は少女の頃にうっとりとノートや脳裏に追っていたその夢を、
何年もの間温めた後、ほぼ忠実に孵化させたような物語です。
ありふれた物語、でも誰の胸にもあった、いちばん最初の大切な、夢の原点の物語。
それを「特別なもの」にまで昇華させるのは、書き手の深い愛情に他なりません。
読んでいる間、懐かしい気持ちになりました。
「イルファーラン物語」はそのような物語なのです。

[付録・アルファードとリーナのスケッチ]