[楽園の霧]
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Yukino Shiozaki
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■T.


 ひと気ない街道沿いの旅籠はその夕べ、若者の二人連れを泊めた。
 黒髪の青年と、少年。
片方は、外套の頭巾を頭からかぶったままいて、顔が分からなかった。
薬草や野菜を植えた宿の庭には葡萄棚があり、みずみずしい色の果実が夕暮れに連なっていた。
山の端には、磨いた石のような月が見えた。
宿の老夫婦が今宵泊まる旅人のために食事の支度をしていると、二人連れの客の片方が
階段を降りて来た。背がすらりと高い、黒髪の青年の方であった。
 「医者は何処だ。この近くに、医者はいないか」
 「いかがなさいましたので」
 「いや。何でもない」
 さして慌てるでもない様子であったが、宿のおかみは、
青年の衣の裾に先ほどはなかった血汚れがついているのを見て愕いた。
さきほど厩に繋いだばかりの馬に鞍を乗せると、黒髪の男は外套も羽織らずに
亭主から聞いた方角へ馬を飛ばし、空が薄青に暮れる頃、無事に医者を伴って戻って来た。
 「やあ今晩は。ご亭主、病人は、上かね」
 ごま塩頭の医者は亭主に訊ねた。
上だ、と答えたのは、戸口を閉めた青年であった。
亭主は前掛けをもみ絞った。二階の奥のお部屋です。しかしご様子は分かりません。
 「何しろ、中に入ることも、廊下からお声を掛けることも、そちらの方に断られましたので」
 医者は青年を振り返った。
長めの黒髪を後ろで束ねた男は、亭主の為に言い添えてやった。
 「病人がそっとしておいてくれと云ったのだ。だが、ひどく具合が悪そうなのだ」
 「お怪我ではありませんので」
 蒼褪めた顔でおかみが口を出したが、青年はそれには、変な顔をした。
 黒髪の男が先に立って階段をのぼり、医者がそれに続いた。
すぐに、黒髪の男だけが食堂に降りて来た。煮込みのいい匂いがしていた。
 「先にお食事をなさいますか、お客さん」
 「頼む」
 「お連れさまが、たいしたことではなければ、よろしいのですが」
 「金ならある」
 黒髪の青年は食事を始めながら、革袋に入った財布を卓に放り出した。
旅籠稼業がもっとも怖れるのは、伝染病をもった客や、病で動けぬままに長逗留し、
咳やうわごとを振りまいて他の客に迷惑をかけた挙句、宿代を払わずにそのまま
部屋で死んでしまう客である。
黒髪の青年は、それをよく承知の様子であった。
お支払いはお発ちの時で結構です、宿の亭主とおかみは口を揃えた。
青年は宿を見回した。
食器はよく洗われて、金物にも曇りはない。
卓上には素焼きの壷があり、そこに花が挿してある。
さして儲かっているとも思えぬ寂れた宿ではあるが、実直な商売をしているらしい。
青年はそれに好感をもったようで、匙を傾け、「この煮込みは美味い」、と世辞を云った。
つくづく、世慣れしている。
態度は堂々としており、その言葉は抑揚なめらかなうちにも人を従える強さがあり、
粗野と貴品の混合といった魅力的な風体の、この青年はいったい何者か。
 「お客さん」
 「何だ。俺はただの傭兵だ」
 聞きたいことを見透かされて眼を丸くしている亭主に、若者は葡萄酒を求めた。
二階の奥で扉が閉まる音がして、医者が静かに下りてきた。
変な顔をしていた。
若い男の隣に腰をかけると、亭主が医者の食事の用意を出し終えるのを待って、「ちょっと」、と
ごま塩頭の医者は青年の耳に何事かを囁いた。
 「知ってる」
 麺麭を噛み千切りながら、ぶっきらぼうに青年は応えた。
宿の亭主とおかみは愕いた。てっきり若い男の二人連れかと思っていたら、
二階で寝ているのは、うら若い娘だという。
医者は笑い出した。なに、心配はいらんよ。二三日寝ていればすぐに過ぎる。
その代わり今度、月のものが来たら、無理をさせずに休ませておやり。
憮然としている若者の肩を叩くと、医者はおかみに命じて、薬湯を煎じさせ、
食事と一緒に二階に運ばせた。


 空は晴れ、やわらかな陽が射していた。
森林の中に敷かれた街道には、先日、旅籠にいた若い二人が並んで馬を歩ませていた。
蒸し返す事柄ではないと思いつつも、文句は出た。偉そうに何よ、というのがその返事であった。 
 「あのように倒れる前に、どうして先に云わない」
 「じゃあ、お礼を云うわ」
 「礼などいらん」
 「わたしが知らないうちに、肌着まで洗ってくれてどうもありがとう」
 数日前の貧血と、それに続く月のさわりの辛苦はどこへやら、黒髪の青年の隣で馬を駈るのは、
手綱捌きもすがすがしき、男装の美少女である。
髪を短く切っているために少年にも見えたが、すれ違う人がみな振り返るような
その美しい姿は、朝摘みの薔薇ともいうべき清らかさで、緑の中によく映えた。
ただ美しいというだけなら、他にもいる。
しかしこのほっそりとした、水色の眸をした男装の美少女には、何かしら精神的なもの、
人を容易には寄せ付けぬ凛としたつよさがあり、それをして年上の青年に対しても
対等の口をきいて憚らなかった。
少女のやわらかな髪は朝の光にきらきらと金色に輝いた。
黒髪の傭兵は抗議した。
 「誰が好きこのんで、お前のものなぞ洗濯するか」
 正直なところ、旅籠の室に辿り着くなり腹をおさえて床に倒れた少女を見た時には、
とんだ荷物を抱え込んだものだと、途方にくれ、忌々しかったほどなのだ。
短くした少女の髪から覗くうなじは、ふと手を触れてみたくなるほどに白く細く、
豊かとはいえぬものの姿のいい肢体は、早春のよろこびに清純に満ちて、
つまるところ、浮世の汚濁を経てきた若い傭兵にとっては、別の生き物のように眩しすぎた。
人形などに興味のない男が、壊れやすい陶器の人形を無理やり持たされた、
そんな心地がするのである。
さらには井戸端で小娘のものを洗うにいたっては、心底、情けないものがこみ上げた。
宿のおかみに任せてもよいのだが、このような上等の薄織物、扱い方も知らぬであろう。
湯でなく水を遣い、日向ではなく日陰に干して、乾いたところで火熨斗をさっと当てた。
手渡すと、怒りの一瞥が返って来たのである。
労を重ねた甲斐がない。
 「俺はお前の侍女ではない」
 「女のはだかなぞ見慣れているから一緒に旅をして同じ室に泊まっても何もしないと
  あなたはわたしに誓ったのよ。嘘つき」
 「俺はお前に何かしたか」
 着るものをはいだくらいで、何故そこまで怒る。いや、怒るのは若い娘として当然かも知れないが、
男と二人旅をしようというだけあって、この娘はそのようなことにぐずぐずもったいつけるような娘ではないし、
それに、今さらそのような些細なことを気にするような仲ではないはずだ。
旅をする間、同じ室に泊まった。
湯をつかう時にも、着替えをする時にも、いっそ味気ないほどの思い切りのよさで、
少女は顔を洗い手を洗い、背を向けて身体を清め、服を脱いだり着たりした、そう、
それこそまるで側にいるこの傭兵は、おのれの忠実な下僕だとすっかり見做しているかのように。
 「お前よばわりしないで頂戴、ジャルディン」
 みるみる少女の顔は険しくなった。怒った顔も、はっとなるほど繊細に美しい。
 「エトラと呼びなさい、ジャルディン・クロウ」
 「俺はお前に何かしたか」
 辟易して、ジャルディンはエトラに馬を寄せた。何を怒っているのだ。
目的地が近づくに連れて、エトラは歓ぶどころか、どんどん機嫌が悪く、気難しくなっているようだ。
 「この山道を抜ければ、道は険しいが、近道になる」
 峠に差し掛かった。
エトラは唇をかみ締めて、前を見つめたままだった。
 「夕方には城に着く」
 「引き返して、遠まわりをしても平地の街道を通ったほうが良かったのではなくて」
 つんとして、エトラは見晴らしのいい峠の曲がりから、前方の一点を指差した。
下方の山間にきらめくもの。それはこちらに近づいてくる、軍馬の固まりであった。
 やがて峠道を押し進めてきた武装兵が見出したのは、二頭のから馬を曳いた年老いた農夫であった。
 「おい、そこな者」
 「へえ」、日陰に退いた農夫はおっかなびっくり、総勢五十騎はあろうかという部隊を仰いだ。
 「途中で、護衛を連れた若い女を見なかったか」
 農夫は首を振った。
 「男の格好をしているかも知れん。知らぬか」
 「ああ、そんなら」
 農夫は思い当たることがあるようで、緑に閉ざされた後ろを大きく振り返った。
 「道を訊かれたで、きつい山道は迂回して、街道を行きんさった方がええと答えましたでな。
  お連れさまは弱っておられた。あれはどこかで養生して休んだほうがええ」
 「いつだ」
 「ついさきほど。この道を下がったところの、曲がり道のあたりでしただ」
 「何人連れだった」
 「十名ほどはお供がいたでな」
 「まだ遠くへは行っていないはずだ」
 二頭のから馬を曳いた農夫を横に退け、武装隊は木漏れ日がまだらに落ちる坂道を進んだ。
林の茂みの中に隠れていたジャルディンとエトラは、近づく軍馬の蹄の音に、身を低くした。
ジャルディンはすでに剣を抜いていた。
いないぞ、と咆える声がした。
木々の隙間から、食い入るようにして、エトラは部隊を率いる男の様子を眺めた。
 「このあたりに隠れているやも知れん。弓兵!」
 伏せろ、ジャルディンはエトラの頭を地面に押しつけた。
木々の葉を弾く音がして、大量の矢が石礫のように一斉に飛んできた。
矢は雨のように降った。
 「続けて、はなて!」
石の上に瓦礫が落ちても、これほどの音はするまい。鳥が騒いで上空へ舞った。
地面に身を倒したジャルディンとエトラの鼻先にも、茂みを突き抜けて、びいんと一本突き刺さった。
 「------いない、か」
 耳を澄まして見廻しても動くものがいないことを確かめると、
騎馬を率いる男はいぶり出しの作戦を中止させ、弓兵をさがらせた。
歳の頃はジャルディンと同じくらいの、栗色の髪をした男であった。
顎がややとがっているものの、尊大な口調にふさわしく、その風采は良かった。
 「ギリファム様」、側近が進み出るのへ、
 「エトラを見つけたら、その場で殺せ。いいな」
 ギリファムは馬首をめぐらせた。
 「俺は城へ帰る」
 「ギリファム様、農夫の言葉を信じるならば、御従妹エトラ様は長旅でお疲れのご様子。
  探し出すのも容易かと存じます」
 ふん、とギリファムは鼻を鳴らした。
 「矢音に愕かぬ馬はおらぬ。この辺りにはいないのだろう。
  先の王を惑わした魔女の娘だ。先ほどの農夫の話もあやしいものだ。信用するな」
 「は」
 「どちらにせよ、エトラは、そろそろ国に入るころだ。よく探せ」
 「御従妹さまの御一行見つけた時のご指示を。ギリファム様」
 ギリファムは眼を細め、手綱を握った。すぐに彼は命じた。
 「しとめろ。遺体は崖の上から投げ捨てておけ。
  その前に好きにしていいぞ。
  伯父貴を惑わした魔女の娘なぞ、獣に喰われるのが相応しい。
  兄上や他の者はどうか知らないが、俺はエトラを従妹とは認めぬ。
  かりにも王女を慰みものに出来るのだ。兵たちも嬉しかろう」
 「ギリファム様。しかしそれでは、ご遺言にも、ナイアード様の御意思にもそむきましょう」
 「お前は、俺の味方か、それとも兄王に忠義立てして魔女のために働く裏切り者か」
 「……王弟ギリファム様の御ために」
 「それならいい。峠を降りたら散開して、不審な一行を探すのだ」
 軍馬が駈け去り、辺りが静まり返っても、ジャルディンとエトラは動かなかった。
エトラを小脇に抱きかかえていたジャルディンが片肘をついて身を起こし、剣を鞘に収めるその間も、
エトラは顎の下に両手を重ねたまま、まだそこに従兄がいるかのように、
じっと前方の峠道を睨みつけていた。
母の死後、エトラは亡父が治めていた国を目指すと、ジャルディンに告げた。
 「亡き母上にとっては、父上が攻め滅ぼした故国のその土、
  その風が故郷であったかも知れない。
  けれど、わたしが幼い頃を過ごしたのは父上の国、カルビゾンだった」
 カルビゾンの王であったエトラの父は、エトラの母の国を滅ぼし、
まだ少女であった亡国の姫を妃としてカルビゾンに連れて帰った。
古い決まりごとにより、カルビゾンの王は正妃の他に二人まで妃を持てたが、
王はエトラの母の他は愛さなかった。
病がちであった妃は異国に連行されてから十三年目に、ようやく王の子を生んだ。
正妃との間に御子はなく、妃が生んだのも王女であったため、
男子しか国を継げぬカルビゾンの典範に法り、皇太子には王の弟の第一子が立った。
そして、七年後に王が崩御すると、エトラの母はエトラを連れてカルビゾンを去り、
滅びた国の跡地に戻った。
 「妃といっても病がちだった母はほとんど室から出ることはなく、
  公の場に出ることもなく、その存在すら諸国に忘れられていたわ。
  王は幽霊の姫を連れて帰って来たのだと、随分と云われたそうよ。
  ご婦人たちはわたしが近づくことすら嫌がった。魔女の子だと呼ばれた。
  それを不憫に思われたのか、わたしは父上のはからいで、
  重臣の子どもたちや、従兄たちと、城の中で遊ぶことを許されていたわ」
 王の死後、母は七歳のエトラを連れてカルビゾンを去り、故郷の地へと帰った。
美しい国など、どこにもなかった。 
すべて埋もれて、城址にわずかな城壁と塔を遺すほかは、一切が焼失し、灰燼に帰していた。
幼いエトラを膝にのせて母が繰り返し語り聞かせた城下の街並みも、硝子天井の遊戯室も、
往時の面影すら残さずに、すべて消えていた。
エトラの前にあったのは黒焦げて荒れ果て、破壊された跡地にそぼ降る雨が水溜りを残す、
瓦礫の野原だった。廃墟に生えた草木が、からからと鳴る、無人の原野だった。
 「ほら、エトラ。あそこがお花を育てている温室ですよ」
 母が指差す方には、熔けてねじれた硝子窓と、野生化した木々しかなった。
エトラは、「ほんとうね。お母さま」、微笑む母の、やさしいその手を握った。
森の中に打ち棄てられるままになっていた狩猟館で暮らした。
十年が経ち、その母も死んだ。
カルビゾンから付き従って来たわずかな召使たちにはじゅうぶんな金を与えた。
彼らは付近の村に落ち着き先を見つけて、王女との別れを惜しみつつ、去っていった。
後始末が終わると、エトラは旅の支度を始めた。
 「ジャルディン。わたしのこの身に流れるのは、大国カルビゾンの王家の血。
  母亡き今、わたしは、わたしの生まれた国を頼ろう。
  父の死後、若くして即位したわたしの従兄が、再三手紙を寄越して、
  わたしを待っていると云ってくれている。
  此度のことも、母が死んだことを知らせると、すぐに心のこもったお悔やみを下さった。
  わたしたちは子供の頃、みんなで遊んだの。
  父の正妃には男子が生まれず、父の弟王子は流行病ですでに亡く、
  王位継承権は父の弟の遺した三人の遺児のうち、第一子ナイアードにあった。
  だから、現王のナイアード、現王弟のギリファム、彼らとは母の違う末弟トルマン、
  彼ら三人は、わたしの従兄にあたる。
  母が一族と過ごした故国をあれほどまでに慕い続けたように、わたしも、
  やさしかった父上や、彼らを想い出すことで、ここでの淋しい生活に耐えてこれた。
  わたしは彼らの許に戻ろう。ほかに行く処もないのだから」
 ジャルディンは、「それがいい」と、頷いてやった。
亡霊の御霊の巣食うこの地に縛られているこはない。
超帝国の王子として生まれながら自ら国を捨てて旅に出たジャルディンとは異なり、
これからのエトラは王族の姫として生きるのが相応しい。そう思われた。
 軍馬が去り、すっかり静かになった。エトラが身を起こすのを手伝ってやった。
長い間地面に伏せていたせいで、エトラの腕はこわばっていた。
立ち上がると、エトラはジャルディンから離れた。
少女の美しい横顔は、緑と影の交差する、木漏れ日の綾を見つめていた。
何を考えているのか分からない顔だった。
道に出たジャルディンは戻って、エトラの髪についた葉くずをとってやった。
俺に訊いてくれ。そうしたら、俺は答える。
あんな男が居る城になど、戻ることはない。
お前の母が過ぎた日々を夢の中にしか追わなかったように、お前の国はもう何処にもない。
カルビゾンに行っても殺されるかも知れない。俺は、お前をそのような処にやりたくはない。
 「ジャルディン」
小さな唇を引き結んで、短い髪を耳にかける、いつもの仕草。
男の格好をしている少女は、傭兵をまっすぐに振り仰いだ。
行きずりの農夫に馬を二頭とも与えてしまったが、歩いても、明日の夜にはカルビゾンに着く。
エトラは自分の荷を持ち、手で埃を払った。
わたしはカルビゾンに行きます。
そこへ、坂の下からふたたび馬音がした。
新たな騎馬の登場に、ジャルディンはエトラを連れて、隠れようとした。
それを止めたのは、「待って」、エトラの鋭い声であった。
彼らは遠目にも分かるように高々とカルビゾンの旗を立てており、お仕着せの見事な衣を着、
そしてエトラの姿を認めるといっせいに馬を降りて、「王女」、地に膝をついた。
 「お待ちしておりました。王女」
 使者は感激の面持ちで、恭しく進み出てきた。
 「ナイアード王のご命令により、お迎えに上がりました。エトラツィア・シルヴィ・カルビゾンさま」
 先刻のギリファムと違い、こちらは大人しい笑顔をした、人のよさそうな三十前後の男であった。
 「-----憶えておられませんか。先の宰相の末の息子で、
  エトラツィア様には御従兄にあたられる、ナイアード様の幼馴染です。
  在りし日には、エトラツィア様に読み書きを教えて差し上げたこともありました。
  ナイアード王にお引き立ていただき、いまは侍従として城に住んでおります」
 「憶えているわ」
 はっとしてエトラは眼を瞠り、そして顔を輝かせた。
 「バーレン。あなたはバーレンだわ」
 「お懐かしゅうございます、エトラツィア様……!」
 使者バーレンはにっこりと笑って両腕を広げた。
ジャルディンの許から離れ、エトラはその者の胸の中に飛び込んだ。


[続く] 

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